かに星雲 (M1) NGC1952
かに星雲の写真
種類 超新星残骸
星座 おうし座
赤経 05h34.5m
赤緯 +22°01'
視直径 6'x4'
視等級 +8.4
距離 6,300光年

・ 辺りの星図 ・
撮影 今村
 撮影場所 浜松市中区 西遠女子学園
 2005年12月25日20:46露出開始
 TOA130(f720mmF5.5)
 BJ-41L冷却CCDカメラ 冷却温度 −20℃
 露出:L=1分×19 R=1分×7 G=1分×7
     B=1分×6枚 合計露出39分

 西暦1054年に出現した超新星の残骸で、そのおうし座超新星の記録は中国、日本などに残っており、日本では藤原定家の明月記に記載されている。M1は、あらゆる電磁波で明るく輝いていて、電波ではTau A、X線ではTau X-1と呼ばれる。M1の元となった星は、中性子星(16等)として残っており、この中性子星から約30分の1秒ごとに電波やX線が放射され、かにパルサーとして有名である。中性子星の大きさは直径約20kmほどしかない。1999年NASAのチャンドラX線宇宙望遠鏡は、パルサ−の周りにX線で輝く半径1光年のリングを発見している。大望遠鏡ではその構造がカニの足のように見えることから、ロス卿がかに星雲と命名した。
(最新デジタル宇宙大百科アストロアーツ2005年4月11日発行より)


『蟹星雲型超新星残骸』

 超新星残骸には、シェル型超新星残骸だけではなく、爆発の後に残った中心核もあります。元の星の質量が太陽の20倍より軽い場合にはこれは中性子星と呼ばれる星になります。中性子星は、重力による収縮を中性子の縮退圧で保っている天体で、大陽の1.4倍もの重さをわずか10km程の大きさで持っている極めて特異な天体です。この星では、角砂糖一個分の貫量はなんと10億トンにもなってしまいます。
 この星は、この大きさで元の星の回転エネルギーを引き継いでいるために大変な高速で回転しています。良く知られている蟹星雲の蟹パルサーでは1周約33ミリ秒というとんでもないスピードで回転しています。さらに、この星には元の星が持っていた磁場がそのまま閉じ込められているため1兆ガウスというこれまたとんでもない強さの磁場を持っています。中性子星は、この磁場の高速回転のために電波領域に強い放射を出しており、その放射が回転と供に弱くなったり強くなったりするために非常に規則的な強度の増減を繰り返し「電波パルサー」と呼ばれます。
 また、中性子星には連星になっているものがあり、この場合伴星からガスが降り積もり、強力なX線を放射します。この様な中性子星を「X線パルサー」と呼びます。
 中性子星はその内部構造や、グリッジと呼ばれる回転周期が突然変化する不思議な現象など、未だにわかっていないことが多い不思議な天体です。その中でも、最近ではパルサーから吹き出す極めて高いエネルギーの荷電粒子からなるパルサー風によって生じる「パルサー・ウインド・ネビュラ」がX線による観測で発見されるなど、次第にその不思議な性質が明らかになってきています。
 また、太陽の20倍以上重たい星は中性子の縮退圧でもその重力を支えることができず、ひたすら潰れていってしまうといわれています。この天休では、重力があまりに強いために光さえもいったん飲み込まれると出てくることができず、その中を観測する手段がありません。この天体はブラックホールと呼ばれています。ブラックホールを直接観測する手段はありませんが、ブラックホールに落ち込んでいく物質はその過程で強いX線を発生するために、X線による観測によってブラックホール近傍の様子は次第に分かるようになってきました。

(星の終焉と銀河の化学的進化 名古屋大学大学院理学研究科宇宙物理学研究室 田村啓輔 第15回「天文学の最前線」2006年より)